「秘密の皇帝」(原題:三国志Secret of Three Kingdoms」)。
このドラマは後漢王朝の末期の乱世を生きる人々の運命を描いた中国ドラマです。
皇帝に双子の弟がいたという大胆なフィクションを軸に、曹操や司馬懿、郭嘉といった実在の人物が絡み合う物語は、史実と創作が巧みに織り交ぜられています。
しかし、史実をひも解くと、ドラマとは異なる意外な事実や、人物たちの本当の姿が見えてきます。
この記事では、献帝を取り巻く実在の人々とその史実、そしてドラマとの違いを分かりやすく解説します
「秘密の皇帝」の時代背景:『後漢末期ー三国時代突入』
「秘密の皇帝」の舞台は、後漢王朝が衰えゆく末期、やがて「三国時代」へと移り変わる激動の時代です。
西暦200年前後。
腐敗と内乱によって朝廷の権威は急速に失われ、各地では「曹操」「孫権」「劉備」らが天下統一を目指して覇権を競い合っていました。
物語が始まった頃、後漢王朝の実権はすでに曹操の手中にありました。
196年、曹操は献帝を保護する形で許都へ遷都し、「漢の皇帝を奉じて諸侯を制す」という大義名分を得ます。
表向きは皇帝を守る忠臣、しかし実際は朝廷を完全に支配し、皇帝は象徴として利用されるだけの存在となっていきます。
そんな中、この「秘密の皇帝」のドラマが始まるのです。
漢王朝が衰退する中、献帝も皇后伏寿もなんとしても漢王朝を守りたかった。
そして、以前のように繁栄させたかったのですね。
その使命のもと、この「秘密の皇帝」では、献帝(劉協)は宦官として葬られる屈辱に耐えたのです。
そして伏寿も、そんな夫である献帝の遺志を継いだのですね。
ふたりの覚悟を感じるドラマのスタートですね。
「秘密の皇帝」史実に基づく主要人物:献帝・伏寿
ますは「秘密の皇帝」の献帝。
献帝にもちろん双子ではありません。
献帝は後漢最後の皇帝。在位期間は30年以上にも及びますが、実権を持つことはほとんどなく、曹操に従属する生活を強いられました。
そして、曹操の息子、曹丕に禅譲します。
そして、妻:皇后は伏寿。
三国志の中では伏寿のことは記述が少なく、よくわかっていません。
その最期も史書によって少しずつ異なるようです。
父の謀反後、幽閉され病死であるとか自殺であるとか、毒殺であるとか。
そんな伏寿がクローズアップされたこの「秘密の皇帝」。
とても意志が強く知的で聡明、そして情に深く、品格もある魅力的な女性として描かれています、
そこが、このドラマの見どころのひとつだと感じています。
「秘密の皇帝」史実に基づく主要人物:伏寿皇后の父・伏完
伏完皇后の父:伏完は高官。
史実では、伏完が曹操傍若無人な振る舞いに反発して謀反を企てたものの失敗。
一族は滅亡。皇后もその後幽閉され、悲劇的な最期を遂げます。
ドラマでは、この事件が皇帝夫妻の運命を大きく変える転換点となります。
この謀反に「秘密の皇帝」では司馬懿が関与していますが、史実ではそのような事実はありません。
このころ、司馬懿はまだ若く、仕官していませんでした。
しかし、この謀反の動機は、皇帝を救い出し曹操を排除する意図、そして計画が曹操に発覚してしまい一族もろとも処刑されたのは事実です。
その結果、伏寿は廃され幽閉され、病死あるいは自殺という最期を遂げたのです。
その後曹操は娘の曹節(そうせつ)を皇后に立てています。
こうして曹操は皇帝を完全に自らの権力下に置くことになります。
「秘密の皇帝」では、献帝(双子の弟・劉平)は曹節を妹のような存在として愛してはいなくても大切にしていたと思います。
また曹節も劉平を慕い、また伏寿の死を苦しみ劉平を支えていましたね。
このドラマの中で伏完の謀反により、伏寿皇后を亡くしたのは大きなターニングポイントとなりました。
劉平が亡くなった伏寿に化粧を施すシーンは心に刺さりましたね。
そして、悲しみに耐えながら、民のために正義を尽くす姿、皇帝としての意志の強さを感じます。
「秘密の皇帝」史実に基づく主要人物:司馬懿
「秘密の皇帝」の中で、もっとも史実とかけ離れたことと言えば、もちろん献帝に双子の弟がいたことです。
そして、司馬懿がこの双子の弟と幼馴染という設定です。
司馬懿は史実で登場する人物ですね。
しかし、このドラマの時代には、司馬懿はまだ無名でした。
まだ若い青年で、曹操に仕官することを避けていました。
司馬懿は若くして才知を知られていて、曹操もその能力を高く評価しており、
仕官を勧めていました。しかし、慎重派の彼はそれを受け入れたくなかったのです。
「秘密の皇帝」の中では胸を刺され、足が動かなくなったふりをしていましたね。
史実でも病気で足が不自由になったと仕官を断っています。
そんなところは、史実に寄せていますが、実際活躍するのはもっと後、曹丕の時代からです。
しかし、大胆な脚本で司馬懿をこの時代に登場させているのは、とても面白いですね。
そして、司馬懿が愛した唐瑛。
彼女は架空の人物です。
しかし、「秘密の皇帝」では表の顔は弘農王の未亡人、裏の顔は袁術に仕えるスパイ兼暗殺者というミステリアスな存在。
このあり得ない設定がドラマの緊張感を高めていると言えるでしょう。
「秘密の皇帝」は史実をもとに大胆な脚本で、あり得ない三国志の世界を私たちに見せてくれます。
あり得ないけれど、それぞれの思惑は、もしかしたらこんな感じだったのかも?
と思わせてくれます。
このほかにも史実で登場する人物がたくさん描かれています。
この「秘密の皇帝」をきっかけに三国志の世界に足を踏み入れてみるのもいいですね。
私は郭嘉もとても気になる人物。
第2弾で、また紹介したいと思います。
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