美人骨上林賦(じょうりんふ)は時空を超えた愛を語る手段

「美人骨」は退屈?
そんな感想もあります。
ただ、やはり日本人にはわかりにくいと感じるとこともあります。
「美人骨」だけでなく中国ドラマでは詩を良く取り入れていますね。
この詩の意味するところが、日本人にはわかりにくいことがあります。
この詩の内容が理解できると、ドラマをもっと楽しむことができるのではないでしょか?
この記事では、「美人骨」の中での『上林賦』についてご紹介したいと思います。

「美人骨」の中の『上林賦』の役割

中国ドラマ「美人骨」は前編と後編。
前世と現世のお話ですね。
そして、「上林賦」は漼時宜が途中まで書いた詩のその後、周生辰が続きを書き足しています。
前世では、漼時宜が途中で忘れてしまい、師匠の周生辰が書き足しています。
現世でも、漼時宜が途中まで書き、そのままになっていたまま。
その後、漼時宜が意識を戻さない中で、周生辰は漼時宜の日記を読み、前世のことを想い、残りの部分を書き足します。

漼時宜の日記を読み、前世を思い出だしたのでしょうか?
それとも、思い出しはしないけれど信じたのでしょうか?
ここは視聴者により解釈は違うと感じます。

ドラマ全体で、なんとなく漼時宜は前世の記憶が残っている様子があります。
はっきりではないけれど…。でもどこか何かを感じている様子はあります。
そして、琴を弾けたり、蓮の絵を上手に描けたりします。
前世の漼時宜からつながっているんだと感じる場面です。

一方、周生辰は前世の彼らしさはあまりうかがえない。
前世のオーラがない。
民から慕われる、「美人骨」の持ち主である周生辰ではない。

第1話 空港での周生辰。
イケメンぶりを押し殺すオーラ―のない雰囲気。
ただ、いざというときには男らしい。
そして、女性に奥手なのはの同じですね。

空港での出会い、そこで何か感じとったふたりだからこそ、そこからの交際が始まります。
そんな二人が織り成す、時空を超えた詩で綴る愛。

前世でも現世でも“時を超えても変わらない美しさ”を感じる場面です。
現世で漼時宜が手を止めた時、周生辰が静かに言います。

「美と魂を与え合い 高鳴りを止められず」。

“色授魂与,心愉于侧”  sè shòu hún yǔ, xīn yú yú cè

色授魂与:美しさが魂に触れ、互いに与え合う

心愉于侧:そばにいることで心が喜びに満ち、高鳴る

この詩のやりとりは、ふたりの愛を感じますね。
大げさな演出ではありませんが、こんな静かな愛の表現に感動を覚えます。

意識を取り戻した漼時宜と周生辰、二人で完成した『上林賦』を見つめるシーンは感動です。
前世で結ばれなかった二人が時空を超えて、愛を確かめ合う。
このドラマに後編があってよかった。
そう思う瞬間です。

何気ない詩がドラマを引き締めます。
ですから、ぜひこの詩のことは理解するといいですね。

「美人骨」で使われた『上林賦』とはなんですか?

『上林賦』じょうりんふと読みます。
じょうりんのふ
上林(じょうりん)とは前漢の時代、長安近郊にあった皇帝専用の庭園「上林苑(じょうりんえん)」を指します。
そして、賦(ふ)は詩と散文の中間形式の中国古典文学のジャンル名です。
詩と散文の中間に位置し、事物を豊富な語彙で多面的に描写するスタイルになっています。

特に『上林賦』では、自然や園林の一瞬を豊かに描写します・
皇室の園林「上林苑」の壮麗な景観や自然、動植物、建築、美術などを豪華に描写した作品だそうです。

この「美人骨」の中で登場する「上林賦」は、実在する中国古典文学を基本にしています。

原典では、四方に広がる山川、滝、湖、庭園の壮麗さ、珍しい動植物や宝玉のきらめき、皇帝の権威と豊かさの象徴としての「上林苑」を描写しているのです。
つまり「上林賦」は、ただの風景描写ではなく、“永遠に続く繁栄”や“失われぬ美” を言葉で描き出した作品。

ここで、原文を見つけましたので、ご紹介しますね。
わかりやすい日本語に意訳です。

南には青く高い山が連なり、
西には果てなき大地が広がる。
清らかな川は南北に巡り、
いく筋もの流れが四方を満たす。
湖も池もあふれるほどに満ち、
宝石のように光を放つ。

この描写は「時を越えても変わらぬ美しさ」を詠っています。

いつの時代も美しさを保つ景色、自然。
周りがいくら変わろうとも、ここだけは変わらない。
そこに永遠の美しさがある

そんなことを想像する詩になっていると感じませんか?

これが、ドラマでは「ふたりの愛や絆が決して枯れない風景」に重ねているのです。

原典の『上林賦』は皇帝の園林の壮大さを描く作品であって、恋愛の詩ではありません。
「美人骨」では、この壮大さをふたりの“永遠の愛”に変え『上林賦』としているのです。

さりげなく詩を登場させていますが、これはとても深い意味があるのです。
このあたりの感性が日本人にはわかりにくいと感じるかもしれません。

でも中国ドラマの美しさは、こうした詩を組み込むことで美しさや映像美を感じるのです。
原文を脚色し、そのドラマのテーマにあわせて美しい世界を作り上げる。
中国ドラマの得意とするところ。

美人骨の中では、この『上林賦』を使って静けさの中の愛を示しているのです。

「美人骨」の中での『上林賦』

ドラマ「美人骨」の中での『上林賦』。

女性は美しさで心を差し出し、
男性は魂でそれに応える。
想いも心もぴったり一致し、
その心は互いのそばへと傾く。

これがふたりの“愛”の表現ですね。

特に、現世で漼時宜が蔵書楼の白い壁に書き始め、そして筆を止めた時、周生辰がそっと続きを伝えます。
「忘れたの?  “美と魂を与えあい、高鳴りを止められず” だよ。」
前世からの愛が真の意味で結ばれた瞬間だと感じました。

この「美人骨」、確かに派手な演出もなく、退屈と感じるかもしれません。
でも、こうした描写を深読みすると、また観てみたくなりませんか?

この「美人骨」の中では壁に筆で書いています。
この壁に筆で書く。という静かな時間の流れが、なんとも言えない空気感を感じます。

現世では漼時宜が壁に書いている間、周生辰がじっと待っています。
こんなカップルなかなかいないでしょう?
今の時間にせかされて生きている私たちからすれば、なんて贅沢な時間でしょう。

彼ら二人も超多忙なはず。
でもこうした静かな時間を共有する。
このドラマは激しいラブシーンはありません。
でもそれもドラマ全体を静かな愛で包んでくれているのです。
そして、この詩を書くシーン。
こうした描写で“愛”を描写する。
他の作品との違いを感じます。

「美人骨」の中でこの『上林賦』はとても大切なキーワードなのです。
でも、その意味が分からないとぼんやりと過ぎてしまうシーン。
こうしたことが、このドラマを退屈に感じてしまう理由なのかもそれません。

いくら日本語に訳されていても、その奥にある意味を私たち日本人には理解しにくいものです。
これがとても残念なことですね。

この「美人骨」
もっと日本でも評価され大勢の人にみてほしい、感動のドラマだと思うのです。
だからこそ、この『上林賦』を理解して感動してほしいと願うのです。

ぜひ、静かな“愛”の表現をお楽しみください。

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