「美人骨」詩でつなぐ時空を超えた愛

「美人骨」このドラマ、私は大好きなんですね。
ただ、やはり日本人にはわかりにくいと感じるとこともあります。
「美人骨」だけでなく中国ドラマでは詩を良く取り入れていますね。
この詩の意味するところが、日本人にはわかりにくいことがあります。
この詩の内容が理解できると、ドラマをもっと楽しむことができるのではないでしょか?
この記事では、「美人骨」の中での『上林賦』についてご紹介したいと思います。

「美人骨」の中の『上林賦』の役割

中国ドラマ「美人骨」は前編と後編。
前世と現世のお話ですね。
そして、「上林賦」は漼時宜が途中まで書いた詩のその後、周生辰が続きを書き足しています。
前世では、漼時宜が途中で忘れてしまい、師匠の周生辰が書き足しています。
現世でも、漼時宜が途中まで書き、そのままになっていたまま。
その後、漼時宜が意識を戻さない中で、周生辰は漼時宜の日記を読み、前世のことを想い、残りの部分を書き足します。

前世でも現世でも“時を超えても変わらない美しさ”を感じる場面です。
現世で漼時宜が手を止めた時、周生辰が静かに言います。

「美と魂を与え合い 高鳴りを止められず」。

“色授魂与,心愉于侧”  sè shòu hún yǔ, xīn yú yú cè

色授魂与:美しさが魂に触れ、互いに与え合う

心愉于侧:そばにいることで心が喜びに満ち、高鳴る

この詩のやりとりは、ふたりの愛を感じますね。
大げさな演出ではありませんが、こんな静かな愛の表現に感動を覚えます。

「美人骨」で使われた『上林賦』とはなんですか?

『上林賦』じょうりんふと読みます。
じょうりんのふ
上林(じょうりん)とは前漢の時代、長安近郊にあった皇帝専用の庭園「上林苑(じょうりんえん)」を指します。
そして、賦(ふ)は詩と散文の中間形式の中国古典文学のジャンル名です。
詩と散文の中間に位置し、事物を豊富な語彙で多面的に描写するスタイルになっています。

特に『上林賦』では、自然や園林の一瞬を豊かに描写します・
皇室の園林「上林苑」の壮麗な景観や自然、動植物、建築、美術などを豪華に描写した作品だそうです。

この「美人骨」の中で登場する「上林賦」は、実在する中国古典文学を基本にしているようです。

原典では、四方に広がる山川、滝、湖、庭園の壮麗さ、珍しい動植物や宝玉のきらめき、皇帝の権威と豊かさの象徴としての「上林苑」を描写しているようです。
つまり「上林賦」は、ただの風景描写ではなく、“永遠に続く繁栄”や“失われぬ美” を言葉で描き出した作品なのだそうです。

ここで、原文を見つけましたので、ご紹介しますね。
わかりやすい日本語に意訳です。

南には青く高い山が連なり、
西には果てなき大地が広がる。
清らかな川は南北に巡り、
いく筋もの流れが四方を満たす。
湖も池もあふれるほどに満ち、
宝石のように光を放つ。

この描写は「時を越えても変わらぬ美しさ」を示唆しています。
これが、ドラマでは「ふたりの愛や絆が決して枯れない風景」に重ねているのだと思います。

原典の『上林賦』は皇帝の園林の壮大さを描く作品であって、恋愛の詩ではありません。
「美人骨」では、この壮大さをふたりの“永遠の愛”に変え『上林賦』としているのだと思います。

難しいですね。
このあたりの感性が日本人にはわかりにくいと感じるかもしれません。

でも中国ドラマの美しさは、こうした詩を組み込むことで美しさや映像美を感じるのです。

この「美人骨」の中では壁に筆で書いています。
この壁に筆で書く。という静かな時間の流れが、なんとも言えない空気感を感じます。

「美人骨」の中でこの『上林賦』はとても大切なキーワードなのです。

「美人骨」の中での『上林賦』

ドラマ「美人骨」の中での『上林賦』。

女性は美しさで心を差し出し、
男性は魂でそれに応える。
想いも心もぴったり一致し、
その心は互いのそばへと傾く。

これがふたりの“愛”の表現ですね。

特に、現世で漼時宜が蔵書楼の白い壁に書き始め、そして筆を止めた時、周生辰がそっと続きを伝えます。
「忘れたの?  “美と魂を与えあい、高鳴りを止められず” だよ。」
前世からの愛が真の意味で結ばれた瞬間だと感じました。

この「美人骨」、確かに派手な演出もなく、退屈と感じるかもしれません。
でも、こうした描写を深読みすると、また観てみたくなりませんか?

ぜひ、静かな“愛”の表現をお楽しみください。

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