ドラマ「秘密の皇帝」。
このドラマの楽しみのひとつ、それは曹操一族の描写。
人間味あふれた曹操一族。
でも、これはあくまでもフィクション。
史実での曹操一族はどうだったのでしょうか?
この記事では「秘密の皇帝」の中と史実との曹操一族の違いについて、私の思いをお話します。
あなたは曹操嫌い?
「秘密の皇帝」の曹操に対し、皆さんはどんな感想をお持ちになりましたか?
献帝の天敵だし嫌い?
曹操ってあまり好きという人少ないかもしれません。
三国志の英雄といえば劉備でしょー。
劉備が好きという方多いかもしれません。
そして、このドラマでも曹操は献帝(劉平)に意地悪だから嫌?
私はこのドラマの曹操が大好きです。
とても人間味あふれる人物だと感じませんか?
孤独に感じるシーン、自分の大切な側近たちが去っていく。
郭嘉が亡くなった時の落胆シーンも忘れられないですね。
そして、後半には荀彧が自ら命を絶ちます。
そうさせたのは曹操でしょ?
と思いますが、荀彧の死を聞いたときの曹操の慌てぶり。
彼の孤独さや苦悩が感じられます。
私がこのドラマで曹操をいいなと思う理由があります。
それは、これだけの力があり、いざとなったら献帝を帝位から引きずり落とし自分が皇帝になることもできたと思うに、しなかったこと。
そして最後には、献帝(劉平)のことを認めた感じしますよね。
お互い天下統一を果たし、平安な国を目指していたのだと感じます。
そんなドラマチックな展開。
ドラマの曹操は魅力的。
私はそう思います。
史実の曹操も魅力的?
では、史実の曹操はどんなだったのでしょう。
そう思いませんか?
献帝を帝位から引きずりおとそうとした?
もちろん、史実でも曹操は皇帝にはなりませんでした。
曹操の息子、曹丕が禅譲という形で献帝から帝位を譲りうけました。
曹操はなぜ、帝位につかなかったのでしょうか?
力がなかった?
そんなはずはないと思うのです。
曹操は自分が皇帝の器ではないと感じていたようです。
そんな人物が皇帝になったら、周囲の反発は相当のもの、そんなことを考えていたのでしょう。
それなら、表面的には臣下の立場で、実権は自分が握るスタイルの方が良いと判断したのでしょう。
周囲の反発が怖かったのかもしれません。
一方で、やはり漢王朝は大切と感じていたのかもしれない。
そう思ったりしたら、史実の曹操も思慮深くていいのでは?
などと、曹操ファンになってしまいます。
史実の曹操というと、冷酷なイメージがつきまといます。
そんな曹操ですが、冷酷なイメージの一方で有能な人材は積極的に登用します。
彼らの生い立ちや過去は気にせず、実力や才能で人を判断するのです。
ですから、有能な人材が集まっていたのです。
そして、みな曹操の魅力を感じ、仕えていたと思います。
これが、曹操の強さの秘密でもあります。
しかし、その一方で疑り深い性格。
少しでも疑わしい者は許さない、殺してしまいます。
そして、皇帝を守るという口実のもと、皇帝を利用して権力を握っていました。
これは史実でもドラマでも一緒。
でも、ドラマだと、献帝を支配しているようでそうでもない部分もありましたね。
それは献帝が劉平という偽者、劉平が賢かったからなのでしょう。
ですから、やはり劉平は怪しまれて当然ですよね。
今までの献帝と違いすぎたのでしょう。
ところで、史実でもドラマでも曹操は疑り深い。
それは、彼の生い立ちに関係しておるのかもしれません。
曹操の祖父は宦官だったそうです。
宦官(かんがん)は去勢された男性で、後宮や宮廷で仕える者ですね。
ですから、決して名門の出身ではないのです。
彼は自分の実力でのし上がった人物です。
きっと「宦官の孫」と見下されてきたのかもしれません。
だからこそ、ちょっとしたことでも「自分をバカにしているのではないか?」
そんな気持ちがわいてくるのかもしれません。
でも宦官の孫が自分の力でのし上がるって、すごいですよね。
そんな曹操が魏公(ぎこう)になりましたね。
魏公の「公」。
これは爵位、漢の時代では最高位の爵位です。
史実では曹操が自ら望んでなっています。
曹操が強い圧力をかけ、みんなに推挙させ、献帝は従うしかなかった。
魏公になるということは、独立した国の君主になった。
そしていずれは天下をとる。
そんな立場です。
でもドラマでは献帝が主導権を握り、首都(許)から追い出すために封じた。
そんな演出ですね。
魏公となり、領土を得て地位も得たのは喜ばしいけれど、なんだか屈辱的。
そんな印象。
そんな屈辱に耐えた曹操もとっても魅力的に感じます。
ただの傲慢で冷酷な印象が和らぎます。
そして亡くなる前、曹操も献帝(劉平)のことを認めていた感じですよね。
ともに国の平安を願いながらも、そして天下統一を互いに手を取り合って成し遂げることはできませんでしたが、曹操がもう少し長生きできたら、それも可能?
そんな気持ちにさせられます。
もちろん、そんなの無理ですけれど。
いくらこのドラマが脚色したくても、そこまでは歴史を変えられませんよねー。
曹操は帝位をねらっていなかったのに、曹丕が帝位に…。そしてその後
曹操は帝位につかなかった。
それなのに、曹丕は帝位を奪った。
曹操は常に「漢王朝の臣下」とい立場を崩しません。
その「漢王朝の臣下」という立場を利用して、力をつけてきた、維持してきたのです。
宦官の家柄出身の自分が帝位についたら。
それは批判の嵐、「逆賊」にされかねません。
この時代、「漢の皇帝=正統」という意識が強かったのだそうです。
簡単には帝位を奪えなかったのですね。
だからこそ、そう曹操の息子:曹丕は禅譲という形をとり帝位についたのでしょう。
真実は献帝に禅譲という形をとらせ、奪ったのに。
ドラマだと、献帝(劉平)が自ら帝位を譲りますね。
このシーンもとても素敵です。
劉平の国を思う気持ち、意志の強さを感じます。
最終的に「漢王朝」を守るのではなく、民の平和を守る姿。
素晴らしいですね。
帝位を手に入れた曹丕が少し哀れに感じました。
曹操ですらやらなかった、帝位を奪うということをした曹丕。
それは「曹操の血を引く者」強い存在であり、宦官の血を引くことはもう過去のこと、意識の中になかったのかもしれません。
あるいは、父を超えたいという野望をなしとげた満足感もあったと思います。
こうして、曹操一族にとってかわった天下。
後に司馬懿一族に奪われるのです。
おもしろいですねー。
曹操や曹丕の下で働いていた司馬懿。
司馬懿は天下を取っていませんが、この司馬懿の子孫のものになっていく。
そんな流れもまたお話していきたいですね。
「秘密の皇帝」主人公だけでなく、他の人物からも三国志の世界を楽しみましょう。
そんな風に感じていただけたら嬉しいです。
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