馬天宇が魅せた中国ドラマ『秘密の皇帝』ー哀しみの中に強さを秘めた献帝像

中国ドラマ『秘密の皇帝 Secret of Three Kingdoms』(原題:三国机密之潜龙在渊)では、傀儡として語られてきた献帝を、気品と内に秘めた強さを持つ人物として新たに描いています。

史実と異なる献帝像、そして献帝を演じた馬天宇の魅力をドラマの中のセリフとともに見ていきたいと思います。セリフは中国語原文とともにお伝えします。中国語にも興味を持っていただけたら嬉しいです。

中国ドラマ『秘密の皇帝』の献帝とは?

献帝(けんてい)は後漢王朝最後の皇帝(本名は劉協)です。幼くして即位しましたが、当時の実権は董卓(とうたく)が握っており、歴史上は「傀儡の皇帝」と語られることが多い人物です。          しかし一方で、彼は幼いころから聡明で、漢王朝の象徴としての責務を最後まで背負い続けたとも伝えられています。

ドラマ『秘密の皇帝 Secret of Three Kingdoms』ではそんな賢さや強さが大胆な脚本のもと描かれています。ドラマでは、献帝が実は双子であり、本物の献帝はすでに崩御していた、という大胆な設定がドラマの核心です。                                          その弟・劉平が密かに皇帝になりすますという展開から始まり、物語は曹操(そうそう)の庇護下で過ごす日々、そしてやがて帝位を曹操の息子・曹丕(そうひ)に譲るまでの過程が描かれています。馬天宇がこの秘密の皇帝を演じています。

皇帝が双子だった、そして偽物だったという今までにない設定、自由奔放な生活していた劉平がいかにて皇帝らしく成長していくか、ハラハラドキドキさせられます。そして徐々に皇帝としての自覚を持ち信念を曲げない生き方、民のために平和のために皇帝の座を曹丕に譲るシーンは感動しました。

このドラマの中の献帝は決してただの傀儡ではありません。今までの三国志では脚光を浴びない献帝に芯の強さを感じます。

 原題:三国机密之潜龙在渊の意味することは?

さて、原題を読み解くとさらにこのドラマを楽しめると思いますのでご紹介します。

「潜龙‘」水底に沈んだ龍(龙‘)龍は中国文化で皇帝の象徴です。その龍が「潜んでいる(潜龙‘)」 つまり、表では曹操が権力を握っていますが、真の皇帝は水面下で力を蓄えていることを意味します。

「在渊」の「渊」は深い水の底を意味し、合わせて「潜龙在渊」は「まだ姿を現していないが、力を秘めている英雄」を指す表現になります。

つまり、「三国机密之潜龙在渊」は三国時代の混乱の中で皇帝(龍)がまだ表に出ず,密かに力を蓄えているということを表しています。傀儡として片付けられてしまう献帝ですが、実は時を見極め、思慮深く動きだす準備をしているのですね。

原題の意味を考えながらぜひドラマを視聴してみてください。

馬天宇演じる献帝の魅力とそれを象徴するセリフとは?

馬天宇(マー・ティエン・ユー)の魅力は、柔らかい物腰と静かな語り口調、そして何よりも揺るぎない信念を感じさせる眼差しにあります。                                        繊細な感情表現で儚くも気高い皇帝像を演じています。

“若我是影子,那我愿为光奉献一切。”                                  「もし私が影に過ぎないなら、光のためにすべて捧げよう。」

“为了天下舍弃性命,是皇帝的宿命。”                            「天下のために命を捧げる、それが皇帝の宿命だ。」

双子という運命を受け入れ、強い覚悟をもって皇帝として生きていくことを誓い、そして自分を犠牲にしてでも国を守ろうとする決意を感じるセリフです。                    史実でも献帝は賢かったと伝えられています。もしかしたら誰も知らないところで国の行く末を案じ苦悩していたのかもしれません。

大胆な脚本で、そして美男美女で織り成す中国ドラマの魅力に酔いしれながら三国志の世界を楽しめる、そんなドラマだと感じます。                                         

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