「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」天才軍師“諸葛亮孔明”なぜ魏に勝てない?

「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」は三国志の表舞台ではなく、戦場の裏で戦うスパイたちのドラマです。
もちろん、このスパイたちは架空の人物。
実在する諸葛亮孔明と李厳の関係が絡み合う壮大な人間ドラマです。
しかし、このドラマは複雑でわかりないくい感じる視聴者も多いようです。
そこでこの記事では、ドラマをより深く理解するためのヒントを解説します。
そのヒントとは、主人公ではなく、諸葛亮孔明や李厳の関係から「なぜ蜀は魏に勝てなかったのか?」史実から紐解いてみましょう。

「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の舞台

三国志は中国が魏・蜀・呉の三国に分かれて争った物語です。
このドラマでは呉の話は出てきません。

「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の時代には、魏の曹操や蜀の劉備はすでに亡くなっています。
しかし、呉の孫権は健在。
孫権は229年に皇帝を名乗っていました。

魏や蜀の争いを冷静に見極め、「呉」を建国し比較的安定した状態を保っていたのです。

曹操や劉備、そして孫権といえば映画「レッドクリフ」を思い浮かべませんか?
「レッドクリフ」は208年ごろの物語。
そして、この「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の舞台は228年~234年です。

劉備はすでに亡くなり、息子の 劉禅(りゅうぜん)の時代。
劉禅は残念ながらカリスマ性もなく、能力が低い。
諸葛亮孔明が蜀を支えている状況です。

そして魏は曹操息子 曹丕(そうひ)も亡くなり曹叡(そうえい)の時代。
曹丕と言えば、漢の献帝から禅譲(ぜんじょう)を受けました。

でも、実際は献帝に圧力をかけて、漢王朝を奪ったとも言えます。
ですからあまり良い印象を持たない方が多いのが実情。

曹丕について、意外な側面を感じるのが、ドラマ「秘密の皇帝」。
このドラマは史実とはかなり違うところも多いですが、三国志の世界を身近に感じるにはよいドラマです。

そして、「秘密の皇帝」を見ると、曹丕に対する見方が少し変わります。
一般的にあまり良い印象をもたれない曹丕ですが、彼の人間らしさを感じたり、曹操や曹丕の周囲の人たちの関係を少し知ることができます。

この禅譲を受けて魏は後漢から王朝を引き継いだ形となり、魏こそが正統な王朝、蜀や呉は正統な王朝ではないとみなされるわけです。

そんな曹丕も亡くなった時代が舞台になっているのが、「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」

諸葛亮孔明は漢王朝復活を願っていた劉備の遺志を引き継ぎ、どうしても魏を倒したかったのです。
そして北伐を行うのです。
諸葛亮孔明は5回の北伐を行っています。
この「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」は、この北伐が軸になっています。

いきなりスパイの物語として視聴をスタートしてもわかりにくい。
まずはっ時代背景を知っているのもドラマを楽しむ重要なポイントです。

きっと多くの方は「三国志」と言えば、劉備や曹操の時代を思い浮かべると思います。
でも、このドラマには二人とも登場しないのです。
その後の時代の話だということをまず理解しましょう。

こうしたちょっとした知識がドラマを何倍も面白くします。

「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の北伐

「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」は諸葛亮孔明の行った、史実で言う228年の第一回の北伐を描いています。
この中心が街亭(がいてい)の戦いです。

この北伐(ほくばつ)ですが、蜀の諸葛亮孔明が魏を攻め込むために繰り返した遠征のことです。
5回行っていますが、すべて失敗に終わりました。

この時代には、すでに蜀は魏との国力や兵力の差が明らかでした。
蜀は魏に比べ小さく、資源も人口も少ない状態、勝ち目は薄かったのです。
それでも戦いを挑んだのです。

それは、「漢王朝を取り戻す」
なぜなら、劉備は漢の血筋を継ぐ人。
だから、蜀こそが正統な王朝なのです。

だから知力で勝負。
そこにスパイという情報戦が必要。
それが「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」
名もなきスパイたちが国に翻弄されながら苦悩にみちた決断を迫らればがら活動していくのです。

ドラマでは第一次北伐を描かれています。
これをスパイの誤情報が原因としているのが面白い。

そして、この誤情報を見抜けなかった諸葛亮孔明。
彼の才能をもっても、情報戦の第一歩で負けてしまったのかもしれません。

天才軍師「諸葛亮孔明」でも失敗

諸葛亮孔明というと「天才軍師」。
いつも羽扇(うせん)を片手に静かに策をめぐらせる、焦らない“優雅な天才軍師”。そんなイメージありませんか?

でも、「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の諸葛亮孔明は苦悩するシーンが多く描かれています。
もちろん、慌てふためいている様子は見せませんが、国を支える為に不安や苦悩と戦っているような印象があります。

そして、李厳との関係。
史実でも李厳とは対立していました。
その事実を上手に脚色したドラマ。

この李厳の動きがスパイたちの運命を翻弄させている。
そして、諸葛亮孔明の北伐の失敗につながっているのです。

このドラマで、今までの諸葛亮孔明のイメージが崩れたと言っても過言ではありません。
「失敗しない軍師」ではないのですね。

そもそも、魏と蜀の国力の差は諸葛亮孔明の才能をもっても埋まらないのです。
それが、史実においても事実なのです。

李厳との関係がよければ歴史は変わっていた?

国力や兵力が弱くても、それでも知力で勝つ。
天才軍師、諸葛亮孔明ならそれも可能、とはいかなかった。
これは紛れもない事実。

魏は蜀に比べ広大な土地や人口を持ち、兵糧や人材に恵まれていました。
蜀の土地は山が多く、土地が狭いため物資不足、そして張飛や関羽といった英雄を失ったあと、優秀な人材も不足していました。
そのうえ、国内では李厳と良い関係を築けていなかったのです。

李厳も劉備から後を任された人物です。
しかし、ふたりは性格も考え方も合わなかったようで、対立していました。
ドラマでも李厳が諸葛亮孔明を失脚させたかった様子がわかります。

史実でも北伐の際の兵糧問題で決定的に関係が悪くなり、李厳が失脚しています。
これをもとに「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」でも、ふたりの対立がスパイたちの運命を変えたのです。

このドラマを見ていて思うのは、諸葛亮孔明が天才軍師と言われながらも魏に勝てなかった理由のひとつは李厳との対立。

国力の弱さ、人材不足ももちろんですが、国内の内乱。
諸葛亮孔明と李厳の対立が大きかったのではないのかしら?
そんな風にも感じます。

誰とでもうまくやれるわけではないのはいつの時代でも同じ。
そんなことを考えてしまいます。
どれほど優れた知的なリーダーでも、組織として連携されていなければ、その能力は発揮できないのです。

そして、諸葛亮孔明はいつも羽扇を片手に優雅に策略を練っているのではなく、動揺や葛藤を抱えていたのだと感じます。

このドラマは名もなきスパイたちのドラマです。
でも、わたしは諸葛亮孔明や李厳にも注目してほしい。
そして、このドラマを通じて三国志の世界をもっと知ってほしい。

三国志がよくわからないけれど、面白そうと視聴し始じめたけれど、わけわからいと感じた視聴者の方に、ぜひ歴史的背景を少しでも知ってほしいと思います。

歴史的背景を知れば、もっと楽しめる作品になります。

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