「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の各話タイトル、気になりませんか?
これは中国古典兵法「三十六計」から得たタイトルだそう。
なるほど。
で?「三十六計」って何?
ということで、この記事では「三十六計」について調べてみました。
中国古典兵法「三十六計」とは?
「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の各話のタイトル。24話中20話は中国古典兵法「三十六計」から取っています。
各話タイトルから、「策略」が見えてくるようになっているのですね。
なかなかに考えられています。
そして、それがこのドラマをさらに面白くしているのだと思います。
でも、日本人には「中国兵法」はなじみがないので、その面白さを伝わりにくいのではないでしょうか?
「三十六計」は中国兵法の知恵の結集です。
戦国時代や三国志でも使われているようです。
では、いつ頃できたものなのでしょうか?
中国の歴史は「戦いの歴史」とも言えますね。
春秋戦国時代から三国志の時代まで、そしてその後も多くの戦いの歴史。
その中で生まれたのが「三十六計」なのです。
この「三十六計」は南北朝時代の言葉が起源とも言われているようです。
「走为上計」(逃げるが勝ち)という言葉は、この頃に言われた言葉だそうです。
この頃にはまだ口で伝えられていたようですが、これが明~清の時代に整理されました。
戦乱の時代を背景に、古代から伝わる戦術や故事を整理して36のパターンにまとめました。
ですから、「三十六計」という言葉自体は三国志の時代にはなかったのだと思います。
でも、古代からの戦術の知恵は言い伝えられていた、それを元に戦いを挑んでいたのでしょう。
中国ドラマでは、この「三十六計」の戦術を模した戦いがよく登場します。
これから中国ドラマの戦いのシーンを見た時には、「三十六計」について考えてみたら面白いかもしれません。
走为上计(逃げるが勝ち)は「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」にでてくるのか?
それでは、日本でも知られている言葉、「逃げるが勝ち」はどこかの話に出てくるのでしょうか?
結論から言えば、「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」では使われていません。
でも、せっかくなので「逃げるが勝ち」について調べてみました。
走为上计(zǒu wéi shàng jì)
直訳すれば、「走る(退く)のが最上の策」ですね。
敵が強すぎてふりな場合は撤退して力を温存するのも大切。
体勢を立て直すためには、一旦退くことも勇気ある判断なのです。
これは三十六計の最後の一計とされています。
色々尽くしても、ダメな時は逃げるのですね。
逃げることは決して臆病ではないのです。
私たち生活においても、無理して頑張り続けることが美徳ではありません。
その環境が本当に合っていないのなら、そこで無理して体を壊すなら、そこから去ることも必要な判断。
私たちが生きる術を「中国古典兵法」から学べますね。
実際、中国ではこうした兵法の知恵は現代社会でも「教訓」として生きています。
しかし、「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」では、この「逃げるは勝ち」は使われていません。
「逃げてはいけない」のでしょう。
このドラマは「逃げる」ことではなく「犠牲」がテーマとも言えます。
表舞台に登場しないスパイたち。
スパイたちに「逃げる」という選択権はないのです。
あるのは「犠牲」。
友情や愛情、そこも大切だけれども、それすらも犠牲にしなければならない悲しみ…。
三十六計をタイトルに組み込まれないのも意味あることですね。
「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」最終話のタイトルに込められた意味
それでは、「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の最終話にはどんなタイトルを使っているのでしょうか?
李代桃僵(lǐ dài táo jiāng)
「李(すもも) 桃に代わりて僵(たお)る」
桃の木守るために李(すもも)の木を犠牲にするということですね。
大切なものを守ためには、別の何かを犠牲にしなければならない。
大きなものを守るため、小さなものは犠牲にする計略です。
スパイたちは国(蜀)の存続を第一に考えて行動してきました。
魏との情報戦で蜀が敗れ崩れてしまえばすべてが終わる。
国家に比べれば、自分たちの命はちっぽけです。
そして、スパイ同士の駆け引きの中での犠牲。
仲間を守るため、自分も守るため、真実を隠し犠牲になる者。
愛や友情を後回しにしてでも守らなければならない決断。
スパイたちの悲しい運命、そして個より国なのです。
こうした犠牲なくして歴史は語れないのです。
この記事では「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の中で使われた「三十六計」のうちひとつだけご紹介しました。
他のタイトルにも意味あるのだと感じながらドラマを視聴したら、楽しみも倍増するのではないでしょうか?
南北朝時代を題材にした中国ドラマ
さて、「三十六計」の起源が南北朝時代。
南北朝時代っていつ?
そう思いませんか。
そこで、南北朝時代を題材にした中国ドラマをいくつかご紹介します。
まずひとつめは「琅琊榜(ろうやぼう)~麒麟の才子、風雲起こす~」
ご覧になった方も多いのではないでしょうか?
このドラマは架空の王朝「梁国」が舞台ですが、南北朝時代をモデルにしていると言われています。
皇帝の後継者争い、復讐劇で戦略や駆け引きが見ごたえあります。
そして、「独孤伽羅〜皇后の願い〜」
こちらも有名ですね。
独狐家の三姉妹を中心に繰り広げられる、政略結婚、王朝をめぐる動乱。
南北朝時代が始まる直前から移行期の話です。
また「王女未央-BIOU-」も南北朝時代の宮廷をめぐるロマンスと陰謀劇。
どの作品も少し以前のものですが、ぜひ機会があったら視聴をお勧めします。
そして、南北朝時代がどんな時代だったのか?想像を巡らせるのも楽しいと思います。
この記事では「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」の各話のタイトルから「三十六計」について
お話しました。
中国歴史ドラマには、日本人には伝わりにくいけれども、奥の深い演出がちりばめられています。
そんなところも魅力のひとつだと思っています。
皆様はどう思われますか?
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