「秘密の皇帝」献帝の逃亡劇その背景

「秘密の皇帝」このドラマの中で、皇后も皇帝も素敵な衣装をまとい、食事にも困っている様子はありませんね。
でも、時々皇后が苦しかった時代の話をします。
皇帝ともども逃げたきた時代。
これは何?
どんな歴史があったのでしょうか?

皇帝の逃亡劇

「秘密の皇帝」の第8話 董承の反乱の際、皇后は苦しかった時代の話をしています。
長安を追われた際、食糧もつき粗末な小屋に身を寄せていた。
その時に皇帝から「今、刺客が現れたらどうする?」と問われ、皇后が「陛下をお守りします」と答えたと。
この言葉は事実かはわかりませんが、実際、献帝と皇后は長安から逃れています。

献帝は曹操の保護される(傀儡状態)前には、董卓に保護されていました。
董卓(とうたく)は呂布(りゅふ)に殺されています。

董卓と呂布と言えば、貂蝉(このドラマでは任紅晶として登場してます)が関係してます。
貂蝉がもとで、呂布を殺してしまいました。
ひとりの美女をめぐる愛憎劇です。
ただし、これは三国志の正史にはないこと。
三国志義演で貂蝉は登場、架空の人物です。

さて話はそれましたが、こうして董卓の死後に長安を脱出するのです。
董卓死後、長安では内乱が勃発し身の危険を感じたのです。
身の危険を感じた献帝は皇后とわずかな側近、護衛兵を連れた命がけの逃亡です。

この逃亡の途中、多くの者が餓死していったようです。
「秘密の皇帝」の中で皇后が言っていたのはこの時のことですね。

長安から逃れ、その後の皇帝

長安から逃げた皇帝。
長い逃避行の末、洛陽までたどり着きます。
しかし、この地も荒れ果てていました。
洛陽(らくよう)はかつての都、その面影はなかった。

そんな中で、曹操の登場です。
曹操が皇帝を保護し許都へ都を移します。

ここまでの逃避行は衣食住に困っていた皇帝。
衣服もボロボロという屈辱的な日々だったでしょう。

そして、曹操の保護下に置かれ、ようやく宮殿、そして皇帝としての威厳ある衣服が整いました。

ドラマの中で皇帝も皇后も素敵な衣装でしたね。
しかし、衣食住からの不安が取り除けましたが、心に自由は奪われる時代の始まりです。

「秘密の皇帝」では、確かに傀儡状態であり、曹操の監視下に置かれていますが、それでも比較的自由な感じ、そして献帝(劉平)も多少の威厳が残っているように見えますね。

他の三国志関連のドラマや映画だと、献帝の姿は脇役程度でしか登場してきません。
そして、まったく権力もなく、曹操におびえている皇帝像が描かれています。

こうしたところからも、このドラマは面白く感じます。
実際、献帝は賢かったと言います。

董卓は献帝(劉協)の賢さを見抜き、劉協の兄劉弁(りゅうべん)を廃し劉協を皇帝にしたと言います。
でも、賢さよりも操りやすいと感じたのかもしれません。
この劉弁がその後「弘農王」となり、董卓に毒殺されるのです。

ドラマでは唐瑛(とうえい)が弘農(こうのう)王妃ですね。
この唐瑛は架空の人物です。
でもこのドラマの中でとても重要な人物。

史実を織り交ぜ、架空の人物が活躍することで新しい三国志の物語が楽しめます。

弘農の秘密

この「弘農」という言葉はどこから出てきたのでしょうか?
実は「弘農」は土地の名前です。

この「弘農」は、献帝の逃亡時に重要な土地になります。
洛陽と長安を結ぶ要地になります。

献帝が長安から逃げる際に通った場所になります。
この時の様子が、歴史書に残っています。

帝走幸弘農,衣不蔽体,食不充口。
Dì zǒu xìng Hóngnóng, yī bù bì tǐ, shí bù chōng kǒu.

帝、弘農に走り幸(いた)るも、衣は体を蔽わず、食は口を充たさず。
(皇帝は逃げて弘農へたどり着いたが、着るものもなく、食べるものも満足に口にできなかった。)

なんて哀れなんでしょう。
こんな思いをした献帝、
何が何でも曹操の傀儡状態から逃れ、漢王朝を復活させたかった。
皇后も同じ思い。

ですから「秘密の皇帝」では、献帝は死後の奇策を思いついたのですね。
そして、自分の死体が宦官として処理されるという屈辱も甘んじて受けるのです。
この覚悟。
だからこその皇后の意志の強さ。

そこに司馬家でのびのび育った、ある意味お坊ちゃまの劉平。
彼の天真爛漫な様子に、皇后もイラついてしまうのはよくわかります。

しかし、外の世界を知っているからこそ、そして優しさや意志の強さを持った劉平が皇帝になったからこそ、歴史が変わる・・・。
ことはなかったですけど。

曹丕に禅譲し、漢王朝が滅びるまでの過程が、史実は別として非常に興味深く感じるドラマになっていますね。

賢かったと言われる献帝。
史実の献帝は何を思い日々暮らしていたのでしょうか?
私はふと、そんなことを思いながらこのドラマを視聴してしまいます。

皆さんはどう思われますか?
華やかではないですが、気品ある衣装をまとい、きれいな宮殿に住む(途中、曹操の屋敷に住んでいましたが、そこもきれいでしたね)。
そんなドラマの背景に、屈辱に満ちた過去や、そしてもっとひどかった傀儡状態。
想像しながら、三国志の世界に浸ってください。

 

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