「美人骨」原題は「周生如故」。
この中で周生辰は『骨を削ぐ刑』を受け亡くなりました。
6時間に及んだ、その刑とはどんなものだったのでしょうか?
そして、その刑の意味することとはなんなのでしょうか?
この記事では、周生辰の受けた刑罰について考えてみました。
『骨を削ぐ刑』とはどんな刑罰?
『骨を削ぐ刑』
生きたまま骨を削ぎ落す拷問刑。
中国語で「剔骨之刑(tì gǔ zhī xíng)」
古代中国では最も辛いとされる刑罰のひとつだそう。
中国ってかなり辛そうな刑がいっぱいありそうですが、その中でも一番ってこと?
確かに、ドラマの中で6時間って言っていましたね。
6時間、その刑に叫び声を上げなかったって…。
剔骨(tì gǔ)
削ぐ、えぐり取る。
ドラマの映像は詳細には映し出されていませんが、ナイフで「シュッ」とただ切り付けているだけのようにも見えますが、でもえぐっているとなるとかなり辛いですよね。
それを6時間続ける。
息を引き取るまで6時間もかかるって…。
一気に出血とかしないように上手に削ぐってことよね。
怖い。
遺体を見た時の蕭晏の表情が、その辛さ、悲しさを物語っています。
日本語タイトル「美人骨」の意味と、「骨を削ぐ刑」のつながり
「美人骨」
このタイトルも日本人には変わったタイトルだと感じます。
もっと魅力的なタイトルだったら、もっと目を引いたのでは?
そんなことを思います。
でも「美人骨」こそ、このドラマで重要なキーワード。
「美人骨」とは、中国では「美しい魂を持つ人」
そう、それが周生辰。
美人というと女性のこと?
と思ってしまいますが、女性に限らず、見た目の美しさではなく内面の美しさ、骨の奥まで宿る美しさを意味します。
周生辰の陣営に劉子行が来ていた時に、女将軍:宏暁誉がそうと知らずに民の噂話を披露します。
それは、周生辰のことを「美しい骨(内面)と美しい皮(外見)を持つが内面と外見の両方を兼ね備えた人」と噂していたと言っていました。
このことを知った劉子行は、ずっと周生辰に劣等感を持っていたのでしょう。
そして、自分の愛する漼時宜が愛する男性:周生辰。
彼の骨も皮も削いでしまいたかった。
そんなことを思うとなお残酷ですね。
中国では「骨」はただの「ほね」ではない
さてさて、中国文学においては、「骨」はただの肉体を構成している「ホネ」ではありません。
中国文学では「骨(gǔ)」
これは、人の魂や気高さを意味します。
数多く文学や思想などに「骨」にまつわる言葉が登場するようです。
例えば、
「风骨(fēng gǔ)」これは文人の精神を示す言葉。
人柄の気高さや魂の強さを表します。
「傲骨(ào gǔ)」これはどんな状況でも屈しない心を示す言葉。
権力に屈しないまっすぐな心を表します。
诗言志,志有风骨。
shī yán zhì, zhì yǒu fēng gǔ.
こんな詩が残っています。
意味は「詩は志を語る、志は風骨にある。」
詩は作者の志を表すものであり、その心は気高さが宿っている。
そんな意味でしょうか。
「美人骨」このタイトルも、こうしたことを考えると、とても素敵ですね。
運命を受け入れた周生辰の潔さ
ところで、私はこの周生辰が謀反の罪を着せられましたが、でもあの場面、彼ほどの人ならなんとかなったのでは?と思います。
しかし、宏暁誉も殺され自分の運命を受け入れたのだと感じました。
皇族に生まれたものの、常に皇室から警戒され続けてきた人生。
控えめに生きてきても、抗うことのできなかった人生。
そして、ここで抵抗することが、自分以外の人たちにも害が及ぶ…。
すべてを悟り受け入れた瞬間。
刀を捨てた瞬間の彼の表情はグッとくるものがありました。
捕まって十字に縛られる中、漼時宜との出来事を思いだし優しい穏やかな表情、そして、血で書く手紙。
そのすべてが美しいシーンで感動しました。
あの牢に縛られた状況でも、逃げようとすれば逃げられかもしれない。
彼にはそれだけの力や知略もあったはずなのに。
でも、それでは本当に謀反になってしまいます。
彼はすべてを受け入れたのです。
それこそ、「美人骨」ですよね。
骨の宿る品格。
骨を削られても、その品格は削れないのです。
そして、来世へ
周生辰が刑を受けている間、漼時宜はベッドの上でもがき苦しんでいました。
ふたりの魂は繋がっているのですね。
同じように苦しむ。
周生辰がそんな残酷な刑を受けているなんて知る由もないのに…。
周生辰にとって、この死は屈辱ではありません。
それは彼に血で書いた手紙に見て取れました。
自分にも民にも恥じるような生き方はしていない。
十一(時宜)の愛にだけは報いることができなかった。
そんな内容でした。
そして、その愛に答えた十一(時宜)。
劉子行に嫁ぐことなんてできません。
城壁から飛び降りる姿。
悲しくも美しい死。
そして来世へ。
本当に何度見ても余韻が半端なく残るドラマです。
「美人骨」
なんだか変わったタイトル。
でも、とてもとても深い意味があるのです。
「時が流れても変わらない魂の美しさ」をぜひ楽しんでください。

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