「虚顔~偽れる顔と真実の愛~」の中の詩を楽しむ

「虚顔~偽れる顔と真実の愛~」
最近快進撃が止まらない丞磊(チョン・レイ)の短編ドラマ。
このドラマで彼は一躍脚光を浴びました。
そして、このドラマは短編ながら中国ドラマの世界の魅力がたくさん詰まっています。。
この記事では、ドラマの中の詩を中心に書いてみます。

ドラマの中で使われる詩の魅力

十七は顔を変えられ沈沁として、萧寒声に嫁ぎます。
そして、彼こそずっと探していた思い人。
そして、萧寒声も十七を探していた。
相思相愛。
でも、十七は本当のことを言えない。
萧寒声も、顔は違うけれど、でも彼女ではないか?と疑う。

そんなドラマ展開の中で、十七が萧寒声を思いながら書いた詩。

萧萧 梧 葉 送 寒 声
しょうしょう ごよう そうかんせい

萧萧梧叶送寒声(xiāoxiāo wú yè sòng hán shēng)

何を意味するのでしょう?

萧寒声(xiāo hán shēng)、将軍の名前の字が入っていますから、将軍を思って書いたのだな、ということはわかりますね。

中国ドラマでは、とてもよく詩が出てきます。
でも日本人の私たちには、あまりなじみがないことが多いのです。
この馴染みのない詩を理解すると、ドラマの奥深さを感じることができると思うのです。

この詩が持つ意味が気になりませんか?
詩の意味を理解すれば、この監督の細微までこだわった演出に触れることができると思います。

「萧萧梧叶送寒声」の意味、中国語も学びましょう

萧萧梧叶送寒声
実はこれ、中国では有名な詩の一句。

梧桐(ごとう)の葉が風に揺れて、寒さを運ぶ音がする。

何?
それがどういう意味?
少し混乱。

梧桐は中国文化では秋・孤独・別れ・遠い旅を象徴する木です。
秋の物寂しさとこのドラマがどうリンクするのでしょう?

この「短編ドラマ」ミステリー要素含んだ軽い感じの恋愛ドラマ。
ただそれだけではないんだなー。
そう思います。

ここで、この詩に出てくる単語を勉強してみましょう。

萧萧(xiāoxiāo)風や葉が風に揺れる音の様子

梧叶(wú yè)梧桐の葉

送寒声(sòng hán shēng)寒さを運ぶ

秋の寂しさ、ひとりの寂しさを感じませんか?

愛する人が目のまえにいるのに、自分の本性を伝えることができない寂しさを物語っているのかな?
そう感じます。

十七の心の声ですね。
愛する人といつまでも一緒にはいられないという思いが十七にはありました。
そんな思いが込められたいるのかもしれません。

すると気になるのは、将軍の名前
なぜ、そんな物悲しい名前なの?

将軍:萧寒声 名前の意味することとは?

男主人公の将軍の名前は萧寒声(xiāo Hánshēng)(シャオ・ハンション)

冷たい、孤独な秋風のような沈黙の人。自分の内なる声を隠し強さを秘めた人。
そんなイメージなのかと考えます。

単語をひとつひとつ考えてみましょう。

萧(xiāo)秋風が吹く音 もの静けさ 落ち葉の音
秋風や孤独、静かな哀しみの象徴

寒(hán)冷たい 寒さ 孤独 厳しさ
近寄りがたい冷たさ、胸の奥の孤独を象徴

声(shēng)声、気配、心の音
沈黙の重さ、声に出さない胸のうちを表現

皆さんは、この名前をどうとらえますか?

丞磊が演じる将軍:萧寒声。
冷たいわけではありません。
秘めた情熱をもつ、一見冷たそう、でも実は優しい、時々はにかむような表情。
強さと寂しさ、そして優しさをもった将軍にぴったりの名前ですね。

萧萧梧叶送寒声
この詩と将軍を完全にリンクさせたドラマの演出
ここの何を思いますか?

偽りの姿で将軍を愛する十七。
心がゆらめっく十七。
ずっと探し求めていた男性が目の前にいる。でも偽りの姿の自分。
いつまでもここには留まれない。
でもずっとそばにいたい。

そんな物悲しい、揺れ動く思いを詩に綴る十七。

そして、その詩を詠んだ将軍。
彼女の心の内を知ることができた喜び、と同時に秘密を明かしてくれないもどかしさ。

様々な想いが交差する、
一行の詩にの中に、とても大きな意味を含ませた演出だと感じます。

日本人には馴染みのない詩。
さらーっと素通りしてしまいそうなことですが、ふと立ち止まった考えたら、このドラマの奥深さを感じずにはいられません。

主人公の名前ひとつにも、とても凝っている。
これは中国ドラマではよく感じます。

そんな視点でドラマを視聴するのも中国語の勉強にもなるし、ドラマをもっと楽しめます。

詩の全文をご紹介

この詩は宋代の詩人:葉紹翁(Yè Shàowēng)(よう・しょうおう)の
『夜書所見(夜に書きて見る所)』の冒頭句。

秋風が吹いてこの葉がそよぐ、物寂しい情景を描いています。

萧萧梧叶送寒声,江上秋风动客情。
Xiāoxiāo wú yè sòng hán shēng,jiāng shàng qiūfēng dòng kè qíng.

知有儿童挑促织,夜深篱落一灯明。
Zhī yǒu értóng tiāo cùzhī,yè shēn líluò yì dēng míng.

調べてみました。
これが全文。

なんとこの詩は、中国ではとても有名。
子供たちでも暗唱できるそう。
子供たちの暗唱コンテストでも良く使われるのだそう。
こういう文化って本当に素敵ですね。

子供でも暗唱できる詩、それならドラマの中で登場しても中国人なら違和感なく、ドラマの世界に没頭できるというものですね。
なんとも羨ましい。

そして意味はというと、

秋の静かな夜、風に揺れる梧桐の葉が冷たい音を運び、
川辺の秋風が旅人の心を揺り動かす。

ふと耳を澄ますと、子供がコオロギをつついて遊んでいる気配を感じる。

深い夜、垣根の向こうに、小さな灯りがぽつりと灯っているのが見える。

静かな秋、物悲しさを感じる秋に夜。
でもその中に子供の愛らしいコオロギと遊ぶ姿や小さな灯りを想像すると
暖かさを感じますね。

このドラマも、寂しさの中にぬくもりを感じるドラマだと思います。
さらーと観れてしまう短編ドラマですが、なんとも素敵なドラマだと感じます。

皆さんもぜひ、ドラマの主人公の名前や詩の意味を考えながら、視聴してみてください。

 

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