三国志外伝愛と悲しみのスパイの琴と成語の秘密

「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」で柳莹が李厳の別荘を訪れた時のこと覚えていますか?
李厳の琴の演奏に柳莹が、「さすがは代将軍、素晴らしい琴の演奏…」と絶賛するシーンがあります。
この記事では、そのセリフから中国の琴文化、そして中国語の世界へご案内します。

三国志の時代における琴の意味

三国志ドラマに限らず、中国ドラマにはよく琴が出てきます。
この「琴」は「古琴(こきん)」と呼ばれ、日本の琴とは違います。
古琴は弦が7本、日本の琴は13本です。
古琴の音の方が静かで重みがあります。

そして、琴は文化人のたしなみでした。
琴を弾くことで、学があり品があることを示します。
特に三国志の時代において、琴を奏でることは教養のある人とされています。

中国ドラマの中で琴を弾くシーン、その場の空気を一変させます。
どことなくドラマをぴりっと引き締めてくれると思いませんか?

そして、「あー中国だなー。」と中国文化に酔いしれたくなります。

三国志の中では諸葛亮孔明が琴を弾きます。
「空城計(くうじょうけい)」
これは司馬懿の大群が迫ってきたとき、城内にはほとんど兵がいなかったのです。
この時、諸葛亮孔明は城門を空け放ち、琴を弾きました。

これをみた司馬懿は「何かある」と勘繰り軍を撤退させたのです。
これこそ、何も無い(兵はいない)のにあるように(兵がいるように)見せかけた心理作戦。
琴は三国志にとってはなくてはならないアイテムです。

そして、諸葛亮孔明のように教養のある人物は琴を弾けて当然なのです。

更には柳莹のような妓女(ぎじょ)も琴が弾ける、上手というのはきちんと教育を受けた教養のある人物。
妓女って?
と思いますよね。
音楽や舞踊を披露し接待する役割、日本の芸子さんみたいな感じ。
でも芸子さんとは時代背景や文化的には違います。

日本の芸子は京都の花街文化から生まれたもの。
妓女は三国時代の中国の宮廷や軍の宴席で芸を披露します。

妓女にも色々ランクはありました。
アンジェラ・ベイビー演じる柳莹はかなり位の高い妓女です。
琴の腕も相当だったはずです。

李厳の琴を、「なんて素敵な琴」と言わんばかりの表情で見つめていましたね。
そして、恐れ多くて弾くことができないと一度弾くことを辞退している。
こうしたところも教養あるからこそ出てくる言葉だと感じます。

琴とは三国志の世界ではなくてはならないものなのです。
「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」でも、もちろん重要な要素になっています。

柳莹のセリフから中国語学習

李厳の別荘を訪れ、李厳の琴の音色に柳莹がこう言いましたね。

「すばらしい演奏。琴の名手、伯牙(はくが)に強敵します。
高山流水,天下に二つとない演奏です。」

中国語では

大将军这一曲气象万千,足以媲美琴仙伯牙,高山流水,天下无双。
Dà jiāngjūn zhè yī qǔ qìxiàng wànqiān, zúyǐ pìměi qínxiān Bóyá, gāoshān liúshuǐ, tiānxià wúshuāng.

この中セリフからキーワードを解説します。

气象万千(qìxiàng wànqiān)景色や物事が変化に富み、壮観を極めるさま ここでは琴の演奏が雄大で素晴らしいことを言っています

足以媲美 (zúyǐ pìměi) 美しさや質が肩を並べる

琴仙伯牙 (qínxiān Bóyá) 琴の仙人:伯牙 ( 伯牙は琴の達人)

高山流水 (gāoshān liúshuǐ) 中国の古典に登場する琴の名曲と、それにまつわる友情の物語から生まれた言葉。
「高山流水」は伯牙の名曲です。
この物語から「心を分かり合える友情」「心の理解者」を表す成語になりました。
また、芸術のすばらしさを称える表現にも使えます。

天下无双 (tiānxià wúshuāng) 天下に二つとない

この短いセルフにとても深い意味が込められているのです。
柳莹はスパイとして李厳に近づきました。
彼に気に入れれるために最上級の賛辞を送ります。

ただ「素敵な音色ですね。」といっても、李厳には響くわけありません。
それを、琴の名匠を持ち出すのは、李厳にとってはうれしいことです。
そのうえ、この詩には「心を理解し合える友」の意味があります。

孤独な李厳の胸に刺さったころでしょう。

そして、こうした言葉がサラリと出てくるところが、さすが位の高い妓女と言えるのです。
ただ美しいだけの女性ではない、知的な女性。
こうしたことが、位の高い教養ある男性を虜にするには大事なことですね。

そして、この短い言葉、詩に深い意味が込められている。
これが中国語の魅力です。
そして、さらりとドラマのセリフとして使われることが中国ドラマの魅力です。

このように言葉から中国語の魅力を知れば、中国語学習にも意欲がわくことでしょう。

伯牙って誰?「高山流水」の故事について

ところで琴の仙人:伯牙(はくが)って誰でしょう?
伯牙は春秋時代の琴の名手だそう。

そして、後世で「琴の聖人:琴聖(きんせい)」と呼ばれるようになりました。
彼の弾く琴の音色は、心の情景を表現されて美しかったようです。
聴いてみたかったですね。

そして、「高山流水」という故事
伯牙がある日、山に登って琴を弾いていました。
その琴の音色を偶然通りかかった木こりが、
「あなたの音は、まるで高山のようにそびえ立っています。」
と言ったそうです。
この時、伯牙は「高い山の雄大さ」を思い浮かべて弾いていました。

偶然通りかかった木こりは、その情景が心の浮かんだのだからすごいですね。

そして、伯牙は「流れる水」を思って続きを弾いたところ、この木こりは
「その音は、清らかに流れる川のようですね。」と言いました。

伯牙は「私の心を理解できる人がこの世にいたとは!」と感動しました。
こうして二人は深い友情で結ばれました。

こうして、「高山流水」自分を理解してくれる真の友人の意味が込められる故事となりました。

山や水がなぜ友情とかの意味をもつのか、こうした背景を知らなければ全く想像つかないですね。

ドラマの中では、ついつい素通りしてしまいそうなセリフの中にも、中国語の奥深さを感じませんか?

天下无双について

天下无双(tiānxià wúshuāng)

日本語でも「天下無双」って言いますね。

天下に並ぶ者がいないほど優れていることを言います。
唯一無二の存在。

「高山流水,天下无双」
これは、最高の誉め言葉と言えます。
ただ、素敵な琴の音色ですね、と琴の上手さを褒める以上の尊敬と憧れの気持ちを込めたと言えるでしょう。

でも柳瑩はスパイとして彼に近づいています。
実際に李厳の琴の音色がどうだったのでしょうか?
少し気になるところです。

でも、こうした言葉がすらりと出てくると事は素敵ですね。
中国語はたくさんの故事や成語があります。
そして、ドラマではたくさんの故事や成語に出会えます。

中国語の故事・成語は今も生きているの?

中国ドラマ、特に時代劇を見ているとたくさんの故事・成語に出会います。
ここで疑問に思うのは、現代でも日常会話の中で故事・成語は普通に使われているのかな?といいうこと。

中国語の勉強をしていると、例文でも良く組み込まれています。
調べてみると、今でも故事・成語は会話でも使われてはいるようですが、若者は多少崩して使っているようですね。

例えば、一见倾心(yí jiàn qīng xīn)
これは一目惚れするという意味の成語です。
これを、一眼丁真(yī yǎn Dīngzhēn)と変えて使っていようです。

言葉は時代によって変化していきます。
それは、日本語でも中国語でも同じですね。

もちろん、伝統的な成語を若者も使います。
少しフォーマルな場面でさらりと故事や成語を使えば、知的な印象を与えます。

成語はその短い言葉の中の物語があります。
この、「高山流水」も、この文字だけみたら、「自分を理解してくれる友」という意味だとは分かりませんよね。
その背景を知ると、「なるほどー。」と納得。

ぜひ、中国の友人ができたら使ってみたいですね。

你真是我的「高山流水」啊。
(あなたはまさに私のよき理解者だよー。)
ってね。

最近は中国でも、ドラマや歌手の影響で古典的な琴などの楽曲や詩などがブーム。
きっと古典的な言葉も見直されてきていることでしょう。

自分の好きなドラマや歌手や俳優さんが使っていたら、なんだか覚えてみたい、意味を知りたいと思いますよね。
そんなところから、中国語を楽しんで勉強してみてもいいかもしれません。
そして、こうした故事、成語をしることで、ますますドラマが楽しくなります。

この「三国志外伝ー愛と悲しみのスパイ」も奥深い作品となること間違いなしです。

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