中国ドラマファンなら、アレン・レンの名前は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
彼は俳優としてだけでなく、歌手としても活動しています。
ドラマのOSTだけでなく、自身のアルバムもは発表しています。
今回は歌手としての活動を通しアレン・レンの魅力をお話したいと思います。
アレン・レンは歌手志望だった!波乱に満ちた人生
アレン・レン(任嘉伦)の人生は波乱に満ちた挑戦の連続でした。
学生時代は卓球選手として活躍していましたが、怪我で引退。
高校卒業後は地元青島(チンタオ)の流亭空港でグランドスタッフとして働き始めます。
普通に会社員の時代もあったのですね。
地元では「流亭一哥」(Liútíng Yī gē)と言われ親しまれていたようです。
「一哥」は組織や分野で一番という意味だそう。
直訳すれば、「流亭空港で一番の兄さん」という感じです。
「流亭空港で一番の存在」、「人気者で頼れる兄さん」と、親しまれていたのですね。
アレン・レンの真面目さが感じられます。
そしてそんな空港勤務の傍ら、「音楽とパフォーマンスへの情熱」から勤務の合間や休日に独学で歌やダンスの練習を続け、国内外のオーディションに参加していたようです。
その後2021年にK-POP練習生として韓国に渡ります。
ここで厳しい歌とダンスのレッスンを受けデビューを目指しましたが、残念ながらその夢は叶いませんでした。
帰国後、俳優としてのオファーを受け、2014年「通天秋仁杰」(Tōngtiān Dí Rénjié)というドラマで俳優デビューします。
残念ながら日本には上陸していませんがYouTubeなどで中国版を視聴できるかもしれません。
ちなみにアレン・レンの奥様はこのドラマで共演した女優さん(今は引退しています)です。
2017年、「麗王別姫」で一躍トップ俳優の仲間入りを果たします。
もともとは脇役オファーだったものの、監督が直接面談した際に「主役は君だ」と抜擢したというエピソードを聞いたことがあります。
事実であれば、アレン・レンの実力と存在感が監督の心を動かした瞬間だったのでしょう。
この作品の挿入歌でも彼の歌声が披露され、俳優としてだけでなく歌手としての才能も垣間見えます。
しかし、人気絶頂の中で結婚を発表。
アイドル的な人気を誇っていたため一時的にファン離れが起き、人気は低迷しました。
それでも、結婚を隠さず公表した誠実さと男らしさは、後にファンから評価されるポイントとなります。
その後2019年の「花様衛士」で再び脚光を浴び、人気を取り戻したのです。
そして、アレン・レンは俳優としてのキャリアを積みながらも歌手としても道も確実に歩んでいます。
2021年、32歳の誕生日に初のアルバムを発表しています。
やっと夢は叶った瞬間です。
そんな努力家のアレン・レン。
夢を諦めない姿勢は本当に共感できますね。
アレン・レンの歌手としての魅力
アレン・レンはドラマのOSTでの歌声と、自身のアルバムでは全く違う表情を見せてくれます。
ドラマのOSTでは優しい歌声、アルバムでは挑戦的でエネルギッシュな表現という、まったく異なる二つの魅力があります。
『花様衛士』のエンディング曲「心墙」や、『美人骨(周生如故)』の「如一」では、役柄や物語に寄り添うような、しっとりとした優しいバラードを披露しています。
歌番組での彼の姿も印象的です。歌詞を一つ一つ大切に、丁寧に歌い上げる姿から、俳優として培った繊細な感情表現が感じられます。
その歌声を聴いていると、思わずもう一度ドラマを見返したくなってしまいます。
一方で、アレン・レンのオリジナルアルバムでは、ドラマOSTとはまるで違う姿を見せてくれます。
32歳の誕生日に発表した初のフルアルバム『三十二·立』は、まさに彼の歌手人生の本格的なスタートを告げる一枚でした。
このアルバムが発売されたとき、アレン・レンのファンである私は歓喜しました。
彼の夢が叶った!と。
タイトルの「立」は、中国語で「立つ」「立場を確立する」という意味。
孔子の『論語』の有名な言葉「三十而立」(sānshí ér lì)三十歳にして立つ(人生の基盤を固め、自立する)をもじり、「32歳でやっと歌手として本当に立ち上がれた」というアレン・レンの思いが込められています。
このアルバムでは、OSTでの穏やかな歌声とは打って変わって、
アップテンポで軽快な曲や、韓国での練習生時代に磨いたダンスパフォーマンスを披露。
PVでは濃いメイクや挑戦的な眼差しを見せ、まるで別人のようなアーティストとしての姿を表現しています。
アルバム収録曲の中には、アレン・レン自身が作詞に関わった楽曲もあり、これまでの道のりや想いを込めた歌詞が印象的です。
俳優としてさまざまなキャラクターを演じ分けるように、アレン・レンは歌の世界でも二面性を見事に表現します。
俳優としての表現力と、韓国練習生時代に培ったパフォーマンス力が融合することで、彼はただの俳優の延長線上の歌手ではなく、独自の存在感を放つアーティストだと感じます。
ドラマで見せる彼とまったく違う姿、これが彼の歌手としての魅力ですね。
今も歌手として、俳優として進化し続けるアレン・レンの魅力
ファーストアルバム『三十二·立』をリリースした翌年2022年、セカンドアルバム『33』をリリース。
シンプルに年齢を示唆する数字をタイトルに掲げ、「32歳で立ち上がり、33歳でさらに進化を続ける」というメッセージを感じます。
1曲目の「无愧」(Wúkuì)は、「恥じることなく」「後ろめたさがない」という意味の中国語。
挫折を経験し、俳優として道を切り開き、結婚発表で人気が揺れながらもここまで努力を積み重ねてきたアレン・レンの歩みを象徴するような曲です。
まるで、「これが自分の道。胸を張って歩んでいる」と語りかけてくるようです。
このアルバムには、台湾の有名な作詞家・方文山(Fāng Wénshān)による楽曲も収録されています。
方文山は、アジアのスーパースター周杰伦(ジェイ・チョウ)に数多くの名曲を提供していることで知られる存在。
実はアレン・レン自身も周杰伦の大ファンで、芸名「任嘉伦(レン・ジャルン)」の「伦」は、周杰伦への敬意が込められているそうです。
その方文山の楽曲を自らのアルバムで歌い上げることは、アレン・レンにとっても一つの大きな進化の証だったのでしょう。
そして、本当にうれしかったのだと思うと、ファンとしては歓喜です。
台湾のスーパースター周杰伦。
中国の芸能界の中でも、彼のファンは山のようにいます。
彼の名から一文字もらう任嘉伦。
私は一時期周杰伦にはまっていたので、とてもうれしいです。
そして、2025年4月11日、36歳の誕生日にリリースされたサードアルバム『36·启』。
「启(qǐ)」は、「开启(kāi qǐ)」
「開く」「スタートする」という意味で、
「36歳で新たな音楽の旅を切り開く」という意志が込められていると感じます。
このアルバムでは、アレン・レン自身がプロデュースにも携わっています。
2024年に長年所属していた事務所との契約を終了し、独立しました。
そんな彼にとっては、まさに「ここから新しい章が始まる」ことを示す作品になりました。
それぞれのアルバムごとに、彼は異なる曲調と表現で、まったく違う表情を見せてくれます。
俳優としても、独立を経て新たな挑戦を続けるアレン・レン。これからも進化する姿から目が離せません。
ぜひ、アルバムタイトルに込められた想いを感じながら彼の音楽を聴いてみてください。
そして、ドラマのOSTでの優しい歌声に浸りながら、ドラマの余韻も楽しんでみてはいかがでしょうか。
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